高齢化が進む中、高齢者向けの介護サービスが数多くあります。
それらは在宅介護と施設介護に分けられます。在宅、つまり自宅にてヘルパーや訪問看護を受ける場合のサービスは別の記事で紹介します。
この記事では施設介護について解説します。
老健や特養、グループホームなど皆さん1度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
施設の種類
- 介護老人保健施設(略して老健)
- 特別養護老人ホーム(略して特養)
- 有料老人ホーム
- グループホーム
介護老人保健施設、いわゆる老健とは
医療法人が経営する公的施設であり、介護を受けつつリハビリを行いながら在宅復帰を目指す施設です。
主な特徴として
<サービス内容・期間・費用等>
・入居対象者は要介護度1~5
・医療的ケアとリハビリが受けられる
・3~6か月程度の一定期間で退去することが前提(原則3か月)
・費用は入居一時金がかからず、月額9~20万円(介護度が低いほど安く、部屋の種類によって金額に差がある)
月額の内訳は施設サービス費+居住費+食費+その他日常生活費
メリットは
・リハビリに重点を置かれた設備が整っていて施設内で自宅復帰を目指したリハビリを受けることができる
・特養と比べると待機者は少なく比較的入所しやすい。
・日常的に必要な医療行為(採血など)は別途費用が掛からない。(施設サービス費に含まれる)
・施設サービス費は医療費控除の対象
デメリットは
・利用期間が決まっているので終の棲家にすることはできない
・リハビリなどのサービスが多い分特養より費用が掛かる
特別養護老人ホーム、いわゆる特養とは
特養は社会福祉法人が運営する公的施設であり、自宅での生活が難しい方が介護を受けながら長く生活していく施設です。
主な特徴として
<サービス内容・期間・費用等>
・入居対象者は原則要介護3~5(特例で要介護度1~2の入居も可能)
・日常生活の介護や健康管理、療養上必要な世話などが受けられる。
・終身利用を前提としている所が多い。
・費用は入居一時金がかからず、月額8~13万円(介護度が低いほど安く、部屋の種類によって金額に差がある)
月額の内訳は施設サービス費+居住費+食費+その他日常生活費
メリットは
・生活介護から看取り介護まで対応している所が多く、終の棲家として最期まで利用できる
・24時間介護が受けられる。
・有料老人ホームなど民間運営の終身利用施設と比較すると低料金
デメリットは
・入居待機者が多く長期間待つ場合がある。
・医療行為はすべて医療保険を使用して施設サービス費とは別途負担する。
・24時間の看護師配置義務はないため医療依存度が高いと入れない場合がある。
有料老人ホーム
民営の老人ホームであり、心身の健康を維持しながら生活できるようにサービスが提供される施設です。介護を主に3つの種類があります。
- ①介護付き有料老人ホーム、
- ②住宅型有料老人ホーム、
- ③健康型有料老人ホーム。
3つの違いについては別途記事で紹介することにして、ここでは他施設との比較を主にみていきましょう。
主な特徴として
<サービス内容・期間・費用等>
・民間企業経営なので、施設ごとに対象者や受けられるサービスが異なります。①②は要介護状態でも入居が可能であり永く生活していけるのに対し、③は介護を必要としない高齢者に特化した施設で家事全般や緊急時の対応、レクやイベント活動、クラブ活動の場が主なサービスとなり、介護が必要となったら退去しなければなりません。
・①は医療体制が整い日々の生活に介護が受けられるので介護度が高い人向け、②自立度の高い高齢者を対象としており訪問介護や通所介護など在宅介護との併用が可能です。
・費用は入居一時金は施設によってかなりの違いがあり、月額料金はおよそ12~40万円に介護保険料自己負担分がかかります。
メリットは
・施設ごとに特色があるので自分の受けたいサービス・費用に合わせて選択できる。
・特養よりも入居しやすい。
- ①は介護サービスが充実しており24時間介護、医療ケアが受けられる。
- ②はレクリエーションやサークル活動など余暇活動が充実している。
- ③は自立した高齢者が第二の青春を送るための設備やサービスが充実している。
デメリットは
- 特養に比べ費用がかかる
- 同じ種類の施設でもサービスや入居条件にそれぞれ違いがあるので事前に情報収集が必要。
グループホーム
認知症高齢者を対象に住み慣れた地域で生活を続けることを目的に少人数で共同生活をする地域密着型施設です。
主な特徴として
<サービス内容・期間・費用等>
・対象者は65歳以上・要支援2または要介護1以上の認知症患者。自治体によっては施設と同一地域内の住民票があることが条件に入る
・サービス内容は入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活の世話及び機能訓練であり、介護職員とリハやレクを行う職員がいる。施設によっては医療スタッフが配属されていることもある。
・医療ケアが必要となった場合や長期入院、共同生活が困難になるなどで退去を求められることがある。
・費用は入居一時金は0~100万円程度、月額費用は5~30万円。
メリットは
・認知症ケア専門のスタッフが常駐している。
・食堂や浴室など共同スペースがあり他者とのコミュニケーションが図れる一方で、部屋は基本個室か純個室のためプライベートな空間の確保もしやすい。
デメリットは
・医療スタッフの配置は義務ではないため医療ケアには特化していない。
・定員数が少なく、地域密着型であるであるため入居までに時間がかかりやすい。
・ある程度の自立生活が求められるので重度の要介護者は入居できない。
まとめ
どの施設を利用するかを考える前に、まずは介護認定を受けましょう。その結果によって上記で紹介したように利用できる施設や保険が異なります。役所から認定結果が届いたら次はケアマネージャーと相談しましょう。ケアマネージャーはケアプラン作成の専門家です。ご本人やご家族の希望をしっかりと伝え、よりよい介護環境になるようにしましょう。
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